給湯室のOLレベルの話題

声を大にしては話せない。できれば墓場までもってきたい。

タカチは海になった

お題「甘酸っぱい思い出」
「おいタカチ!はよして!マジで!」
『うっさいわシロ!はよせないかんわかっとる!ほやけどこっちも全力でやってんねん!』

 俺が埼玉のキッタナイ倉庫でバイトしてた時、高橋という俺より1個上で背の高いガタイのいい男がいた。俺はタカチって呼んでたんだけどたまにタカちんちんって呼ぶと「人を卑猥物みたいに呼ぶなや!」って福井訛りで怒る面白い奴だった。

タカチは休み時間にいつも『オレは将来ビッグになるで、こんな倉庫のバイト生活から抜け出すんや!』と鼻息荒く言っていた。「夢があっていいなお前は」といつも俺はあいづちを打っていた。

そんでしばらく経って俺ももう別の仕事してた時タカチから電話があった。『シロ、今からお前んちいっていい?』「いいよ」タカチが来た。

部屋に入るなり『オレ今風俗の店長やってんねん、車もBM乗ってんねんすごいやろ!』と言ってきた『金もめっちゃ持ってんねん凄いやろ!』って。『チ◯コに真珠いれたんや!しかも真珠に名前書いてもらってどこに落としてもこれで安心や!』「いや落とさないだろチ◯コは」みたいな会話したんだけど目はなんか哀しそうだった。

「いいじゃん、お前が幸せなら、俺もなんか嬉しいよ。」って言ったらタカチ泣き出した。俺のTシャツぐわー掴んで胸に顔うずめてオイオイ泣き出した。鼻水こすりつけながら泣き出した。『オレほんまこんなんでいいんかなぁ?ウ…ウウウウっ女の子だまくらかしエッエエて、働かして。自分だけいっぱい金貰ってェェウウウウ。』バビッ Tシャツ破けた。

ほんで10分くらい泣いた後

『すまんなシロのTシャツめちゃくちゃにしてもうた。すまんほんますまん』「いいよ、Tシャツならまた買えばいいし、でもタカチ、お前の体の真ん中にあるモンが傷だらけだったら今俺が治してあげなきゃいけないだろ今しか無いじゃんそれ。そのためにTシャツ破けてもお前の汚い鼻水つこうがなにしようが俺はいいのや」

つったらタカチさらに号泣ヒートアップバリバリビリバリ、Tシャツお釈迦になった。そんで顔うずめて小一時間泣いたら『またいつか会おうやいつになるかわからんけど』つって帰った

 それからタカチに再会したのはすぐ2週間後だった。東京湾に浮いてた。なんか知らんけど風俗で働いてる女の子たちの借金肩代わりして『こんなことしてたらアカン』言うてせっかく入った子みんなみんな抜けさしたらしい。そんで関係者に目つけられて沈められたらしい、水でブクブクになったタカチの身元は司法解剖の結果チ◯コの真珠に書いてあった名前で分かったらしい。

 

なんじゃそれ最後のギャグ面白いじゃんタカチ。でもタカチ俺今笑えないわ。すまんお前の最高のギャグで笑われへんほんますまん。警察から俺宛の手紙があったということで渡された。『シロ俺はあの日どす黒い化物から人間に戻れた。これから死ぬかもしれんけど人間として死ねるなら嬉しいわ。ありがとなありがとなホンマありがとな。』

なんじゃタカチ。俺はお前がバケモンでも妖怪でも生きててほしいんだよ。どんなミジメでもゴミ虫でも俺はお前が生きてる方がいいのよ。ほんま笑われへんドアホくそタカチ阿呆阿呆アホったれ!!!








小恋路ペコ

お題「写真で投稿! 秋の一枚」

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この写真見せたら「オレンジペコーにミルクをトトパッって入れた直後みたいな空やね」って言われたんだけどなにがオレンジペコーやねん。言い回しがオシャレ過ぎて虫唾が走るわ、そんなことより今俺腹ペコペコーなんだけど何か食いにいかない?蕎麦とか。ってなった。

贖罪を待たない岡崎つくしと奴の晩年の土地。

 

お題「甘酸っぱい思い出」

甘酸っぱい思い出というより酸っぱ臭いだけの思い出なのだけれど

 


 岡崎が学校にもバイトにも来なくなって2週間が経って何してんかなと思って家突撃したら菓子パンとかカップラーメンとかコンビニ弁当とかの山の中で食って吐いて吐いては食って食ったと思ったらやっぱ吐いてを繰り返してた。こいつ前世はマーライオンだったんかなとか思いながら俺はとりあえず座ってそこにあったオーザック食ってTV見てた。

そしたら「何があったか聞かんの?」ってガラガラボイス岡崎
「何があったか聞いて欲しいんか?」って言ったら「そんなん言われたらムカつくから話したくない」ってさっきから思ってたけどそれもう声帯じゃなく食道で発声してるよね岡崎。
とりあえず二人で飛び散った琥珀色の吐瀉物を雑巾で拭いたのだけれども色々詳細を書くのだるい、けどそれが私の酸っぱ臭い思いをした思い出。

 

時代

今週のお題「行ってみたい時代」

弥生。

 友達の結婚披露宴のため、夜行バスで秋田に帰った。

 会場で久しぶりに同級生たちと会ったのだけれど、皆家庭を持っていたり、結婚間近だったりなんつーかいい感じに順調だった。

東京で適当に一人暮らしをしている自分は浦島太郎になった気分。遠く離れたところでタイやヒラメの踊りを見てたつもりが自分が手の平の上で踊らされていた気がする。
おどり場で足を止めて、少女だったと懐かしく思う日がついに来たのだろうか。とか思いながら妙な味の酒を飲んだ。甘かった。どれもこれも。



レイトショーのかえりみち。

「ねぇ!ちゃんと聞いてる!?」

 私が18才だったころ、よくモリちゃん(仮名)と映画を見に行っていた。
埃っぽい風俗街を少し抜けたところにあるそのくたびれた映画館※は、当時の私達にとって良き娯楽施設だった。なにせレイトショーだと安いだけじゃなくほぼ貸切り状態だったからだ。

 映画の帰りは決まって近くにある「ALL100円!!」とデカデカと書かれた自販機でジュースを買い、(私はファンタオレンジ、モリちゃんはいつもコーラ。)
自転車をこぎながら、興奮ぎみに今日見た映画の感想を話す(時々裏返る)モリちゃんの声を聞きながら家路につくのだった。
 
 今現在の私はあまり、というか全然映画を見に行かない。なぜかと考えたところ、『モリちゃん感想発表タイム』が無いからだということに気がついた。私にとっては映像そのものよりも、それをモリちゃんの目を通してみたせかいの方がよっぽど愉快で心地よい時間だったんだ。

 「聞いてるよ、ちゃんときいてたよ。」


(※夏場に行くと朝からそれまで座っていたお客さんのおかげで座席がもれなく汗臭かった、なので私達は必ず持参したファブリーズをふりかけてから座った)




今週のお題「調味料」
調味料ではないのだけれども、ファンタオレンジの匂いは印象に残っています

 

好き好き大好き超愛していない。

「愛は呪いだ。」
 
10センチもあるピンヒールを脱いだばかりで藤崎は言う。
「夫婦愛、家族愛、友情。そんなものはテレビの中や道徳の教科書のために作られた、架空の聖人君子たちのためだけのものじゃない?」

そう言いながらかき分けた髪からシャネルの香水の匂いが舞い、狭い部屋の空気と混じり合う。


「実際、この世の中で離婚や不倫、虐待、いじめが蔓延っているのは「愛」そのものは人間がもともと持ち合わせて生まれてきていないという証拠になると思う。でも人は愛というものの存在を信じきっているから「本当に愛しているならナントカ」とかあげく「仕事と俺はどっちが大事なんだ」とか言う、架空の愛情に頼りきって足枷になってる、思想のズレを愛が足りないから思いやりがどうとかっていう曖昧で陳腐な言葉で正当化してなんとなく腑に落ちた気でいる。とにかく人は有りもしないのに愛に飢えている、愛の飢餓状態。これは呪いというしかほかナッスィィィ!!そもそも…」

「ちょ、ごめんなんで途中ふなっしー出てきた?」

「いやなんとなく」

「なんとなくならしょうがない、続けて」

そうして夜が過ぎ、私はまた寝不足で出勤した。彼女は夏休みらしく帰らず部屋で眠っている。
間違いなくこれは呪いだ。